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Looking for the Nostalgia

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ラムネ 11

ラムネ前回

さっき負けた奴から順番にゲームが進められていく。
それぞれ徐々にカードを減らしていき、一番最初にあがった奴が
「ヨッシャー!」と大声を上げた。
その次に僕もあがれた、というかさっそく一番最初にあがる事を回避した。
どういう訳か、こういう勝ちたくない時に限って強いカードが回ってくるものだ。
そして負けた奴が「あー何だよ〜」と、
手元に残ってしまったカードを放りながら嘆いた。
でもどこかちょっと嬉しそうな顔つきだ。
こういう暴露大会が好きな奴っているよな〜。
それも暴露話を聞きたいというより、
むしろ自分がちょっと暴露したいみたいな感覚なのだろう。
そう考えるとコイツはわざと負けた可能性もあるな。

最初にあがった奴が「お前って彼女いるじゃん?」と、
企みを大げさに含ませたような顔で負けた奴に言った。
「それが何だよ?」
負けた奴が答える。
僕も含めてこの班の奴等は、
クラスでもまったく冴えないタイプのグループなのだけど、
そうかコイツ彼女いたのかと、そういうタイプの中でも
彼女がいる奴がいるのだなと、僕は少し驚いた。
だけどそんな事より気がかりな事というか、嫌な予感を抱いてた。

「その彼女とはどこまでイッたのか答えなさい」
最初にあがった奴が負けた奴を真直ぐ指差して言い放った。
その瞬間、周りの奴も「イェーイ」「良い質問だねー」などと手を叩いて盛り上がる。
的中してしまった。
深夜に男が集まって暴露大会をすれば、この手の話になるのは
当然と言えば当然なのだろうけど、僕はまさにこの手の話を懸念していたのだ。
しかも酒が入っているせいで歯止めが効かず、悪ノリが悪ノリを呼び、
内容が行き過ぎてしまいかねない。
それだけはどうにかして避けたい。

負けた奴は「えぇ〜、そりゃキツいっすよ〜」と言いながら
ニヤニヤと下品な笑みをして缶ビールをグビッと飲む。
もったいぶっているが、言いたくてたまらないといった様子だ。
「早く言えよ〜」周りの奴が煽る。
「いや、だから〜、もうヤったよ」

心臓がバクバクした。

「マジかよ良いな〜」
「なぁなぁ、どんな感じだった?」
周りの奴等が更に盛り上がって、文字通り前のめりになって聞き立てる。
「おいもう答えただろ、勘弁してくれよ〜」
負けた奴がそう言った瞬間、僕は閃いて
「よし、じゃあ次コイツが負けたらその続きを聞いてやろうよ」と咄嗟に言った。
一瞬その場がシーンとなってから
「なるほどね、楽しみは残しておいた方が良いもんな。
そうと決まればさっさと次の勝負をやろうぜ」と、僕の提案に皆納得したようだった。
「あぶねー助かった〜」と言いつつも、負けた奴は少し不満げな顔をしていた。

何とか切り抜けられた。
これで次のゲームは僕がわざと負けて、話の流れと空気を変えよう、
そう考えたのだ。
場合によっては二回連続で負けても良いかもしれない。

再び全員にカードが配られてゲームが始められる。
僕はとにかく負ける事に専念した。
他の奴等が徐々にあがっていく。
そしてゲームが進められていく中で勘づいた。
残ったのは僕と今さっき負けた奴だ。
コイツもわざと負けようとしている。
そこまでして話したいなんて、何てえげつない奴なんだ。
それだけじゃなく、周りの奴等も声を上げて僕を応援している。
さっきの話の続きを聞きたくてしょうがないのだ。
コイツらから沸き上がった醜悪で強力なエネルギーが渦巻いて、
このテーブルを取り囲む輪にまとわりついていた。
その一種異様な盛り上がりと圧迫感に僕は負けた。
つまりゲームに勝った。
大歓声が上がって、嘆き声と下品な笑みがこぼれた。
考えが浅はかだったか。
隣りの奴にハイタッチをされながら僕は思った。

「じゃあその時の一部始終を詳しく聞かせてもらうよ〜」
今回一番最初にあがった奴が心底嬉しそうに、したり顔でそう言った。
「チクショー、まさか二回続けて負けるとは」
と下品な表情で晴れ晴れしく話し始める。
僕は何とか話から気を紛らすように、聞く振りをしながら、
テーブルの上のカードを集めて手元でシャッフルしたり、適当に弄ったりする事にした。
「それからフェラチオがさ…」と聞こえた途端、
激しい目眩と腹の中を掻き回されるような感覚に襲われた。
僕はカードを捨てるように手放し、トイレに駆け込んで思いっきりゲロを吐いた。
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by shimizumigiwa | 2011-01-30 07:04 | ラムネ
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