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Looking for the Nostalgia

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ラムネ 14

ラムネ前回

プリントの裏に赤ペンが入れられてから数日後、
僕の人生と精神を狂わせる出来事が起こった。
いくら忘れようとしても、こびりついて拭い去れない忌まわしい記憶。

その日、僕は教室の掃除当番だった。
他の当番のやんちゃな男子達は紙屑をボールに、
ほうきをバットに見立てて野球ごっこをしてふざけていた。
その姿を見ていた女子達は「ちゃんとやりなさいよ」と文句を言い、
男子達が「うるせーブス」と言い返す、お決まりのやり取りをしていた。
僕が机を運んでいると、足下に紙屑のボールが転がって来た。
「ヘイ」
ピッチャー役の奴が、拾ってこっちに投げてくれという意味合いで、
両手を胸元に構えてそう言った。
僕はお前らサボっていないで掃除をしろよと内心思い、
紙屑をそのままゴミ箱に投げてやろうかどうしようか迷っていたら
「ヘェーイ!」と更に大きい声で威圧するように急かされ、
結局紙屑のボールを拾い上げ、無言で投げ返そうと腕を振り上げたその瞬間、
ガラガラッと教室のドアが開く音が聞こえた。
反射的に振り向くと、ちょうど担任が入って来た所だった。
そのまま僕のところへ一直線に向かって来て、目の前でピタッと止まり、
一言だけ「放課後教室に残りなさい」と言ってまた教室を出て行った。
行き場のなくなった紙屑のボールを握り締めながら
野球ごっこをしていた奴等をチラッと見ると、
既に真面目に掃除をしているフリをしていて、女子達は無関心を装っていた。

教室の内も外もすっかり誰もいなくなった放課後、
そのガランとした教室で一人自分の席に座って担任を待っていた。
しばらくして担任が教室に入って来ると、
「西日が少しキツいな」と独り言を呟きながら教室の前半分をカーテンで閉め、
窓際の一番前にある担任用の机に腰掛けた。
それを合図に僕は席を離れ、机を挟んで担任の前に立った。
担任は椅子を横向きにして足を組み、
「なぜ掃除をせずに遊んでいたのか理由を言いなさい」と、
机に肘を付いて自分の爪を見る姿勢で言った。
どう言葉にして良いのかわからずに黙り込んでいたら、
担任が立ち上がって僕の目の前に来たかと思うと、ビンタが飛んで来た。
痛みと驚きと恐怖で泣いた。
「言わないからよ。理由を言いなさい」と担任は教科書を読むようなトーンで言った。
怖さで言葉が出て来ずに泣いていたら、またビンタが飛んで来た。
そうしてまた担任は同じセリフを同じトーンで言った。
そのやり取りを繰り返した何度目かのビンタの時、
僕は衝撃でよろけて、脇の担任用の机にぶつかった。
その揺れで机の上に置かれてあった業務用の少し大きめのスティック糊が、
コロコロ転がって床に落ちた。
担任はおもむろにスティック糊を拾うと、思いっ切り振り上げ、
今度はそれで僕の顔面を殴って来た。
僕が泣き声を更に増すと「痛いの好き?」と聞いて来た。
顔を上げられずに黙って泣きながら下を向いていると、
「オイ、聞・い・て・ん・だ・よっ」と言葉に合わせて弾ませるように、
スティック糊を頭頂部に振り下ろして来た。
僕は必死に首を横に振ると、「だったら早く理由を言えって言ってんだろ」と
初めて教科書のトーンから離れた言い方で、何かしらのスイッチが入ったのか、
少しニヤけたような表情を浮かべながら、握り締めた業務用スティック糊を
何度も左右斜めに振り回すようにバキバキと僕の頭と顔を殴りまくった。
たまらず両腕で顔をかばうと、振り回したスティック糊が僕の肘に当たり、
衝撃で蓋が弾き飛んだ。
その瞬間殴るのをやめたかと思うと、急に僕の両肩を掴み、
グルッと後ろを向かされ「窓に両手を付けろ」と言われた。
言われるがまま前屈みのようにカーテン越しの窓に両手を付かされると、
いきなり背後からズボンとパンツをずり下げられ、
そのまま勢いよくスティック糊を肛門にねじ込まれた。
余りにも理解不能な行動と恐怖で、僕は声も出なかった。
背後から覆いかぶさるような状態で担任は「理由を言え!」と僕の耳元で怒鳴り、
スティック糊を握っている手の力を更に込めた。
切迫した僕はたまらず泣きながらカーテンを握り締め、叫ぶ様に理由を答えた。

その時何て答えたのか、またそれに対して担任が何を言ったのかもよく覚えていない。
ただその後に、担任は握り締めていたスティック糊を床に放って、
「ほら、ゴミだよ」とまた教科書のトーンに戻って顎で促すように言った。
僕はパンツとズボンを上げて、
つい先程まで自分の身体に突き付けられていたそれを拾ってゴミ箱に捨てると、
「今から一人でもう一度教室の掃除をしてから帰りなさい」と担任は言い、
そのまま教室を出て行った。
僕は言われた通りにした。

恐らく、その時間帯は他の先生は職員室にいるか、
上級生の先生は授業をしているかでその教室の付近にはいない事も、
取り立てて用事がなければ受け持ちでないクラスの教室になんか
入って来ない事は勿論の事、
小学校二年生では、この一連の出来事を親や他の大人達に
説明できるボキャブラリーも、まして心のキャパシティーもない事も、
何より僕が元々器用に立ち回れたり積極的に話をする事が
得意でないタイプである事だって、全て計算付くの上での行為だった。

大人の女の人のやり方。

以来ずっと怨んでいるし、スティック糊を見るたびに
頭がビリビリして肛門が引きつるような感覚に襲われる。
無論使う事だって出来ない。
担任の名前もフルネームで覚えている。

ミニスカートのスーツの似合う美人な女の先生だった。
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by shimizumigiwa | 2011-04-03 15:00 | ラムネ
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