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Looking for the Nostalgia

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「新宿ダンボール村」 迫川尚子写真集 1996-1998

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「新宿ダンボール村」
迫川尚子写真集 1996-1998


JR新宿駅東口改札そばにあるお店「ベルク」の副店長である迫川尚子さんが撮影した、かつて(1996年1月24日から1998年2月7日まで)新宿駅西口駅前広場にあった新宿ダンボール村の住人達とその周辺の記録集。

記録集としても貴重な内容だと思うけど、迫川さんの日々のまなざし、ダンボール村の人達と過ごした時間、かけがえのない大切なもの、そんな日々の営み、日常が写し出されていて、胸が詰まった。
迫川さんの足跡を辿るようにページをめくった。
素晴らしい写真集。

全ての写真の解説も掲載されていて、その一つ一つを読んで涙ぐんだ。

とくに(あまり細かなところまではここでは書けませんが)、顔見知りになったダンボール村の方(殆どの方とそうなっているわけだけど)から、ある日突然一枚の絵をもらって、もう会えないんだなと直感したエピソードは、その写真とも相俟って切なかった。

限られた期間の日々の断片を切り取ったこの写真集から、収まりきれないストーリーがあるのだなと伝わってきた。

稲葉剛さんによる、新宿ダンボール村の出現から解散に至るまでの歴史、社会的・政治的な背景の解説もあります。

僕は当時、美大浪人の時期だったのですが、ダンボール村でアーティストがダンボールハウスにペイントをしている様子などをニュースで取り上げらているのを観て、なんかスゴイと思っていたけれど、その程度の認識で、ダンボール村の現状やその背景などは知ろうともしなかった。

写真集にも載っている"突起物"については、自分もこのブログで2年前くらいに少しふれていた。※記事はコチラ
だからじゃないけど、この写真集と出会ったのも、何となく必然だったのかなと思ったり。

ちょっと前に、新宿を探索している時、新宿中央公園で出会ったホームレスのおっちゃんは、もしかしたらダンボール村の住人だったのかもしれない。
(実際にダンボール村が解体されてから新宿中央公園へ向かう人達の様子も写されている)

ネコと一緒にいたところを写真(携帯だけど)に撮れないかなと思っていたら、おっちゃんの方から近付いてきて「もっと近くに来て撮っていいぞ。コイツ(ネコ)はこの公園で皆に大事にされてるから誰にでも懐くんだよ」と、おっちゃんは言った。
でも誰にでも懐くのはおっちゃんの方で、そんな屈託のないおっちゃんに、ネコが懐いたんだなと思った。
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写真家のすごいと思うところは、その時代の世の有様や空気を写し出すから。
でも写真に限らず、優れた作品というのは多かれ少なかれそういう側面を持っているのだと思う。

過去に写された(作られた)モノを今観て、その当時の断片を感じられる。
背景を感じられて文脈を辿る事のできる、そして今に至るまで引き継がれるものを、文化と呼ぶのかもしれない。

新宿の大きな魅力の一つは不健全さ。
でもそれは、あらゆる人やモノが混在できる寛容さを持った稀代な街でもあるという事。
だから善くも悪くも独特の雰囲気を持つ場所になって、独自の文化が生まれるのだと思う。
そんな大きな受け皿の中に、自分も含まれている。

また新宿が好きになりました。
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ビア&カフェ BERG (ベルク)  
7:00〜23:00
東京都新宿区3-38-1
ルミネエスト B1(旧MYCITY B1)


「写真とベルクのあいだで」
写真家迫川尚子公式サイト

by shimizumigiwa | 2013-06-19 07:48 | Diary
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